相互認識域と思春期のキズ。 Base Ball Bear 「十七歳」 レビュー
Base Ball Bear レビュー② 「十七歳」
2ndアルバム「十七歳」(2007/12/05)のレビュー。
路線としては前作「C」の青春、思春期的な路線を強化しながらより音楽性はポップになっており、ベボベのパブリックイメージはほぼこのアルバムのイメージと同じだと思う(セールス的にはこのアルバムが1番ではないのが面白い)。
代表曲「17歳」「ドラマチック」が収録されており入門アルバムとしてもとっつきやすい。
小出はこの時期に半年ほど音楽プロデューサーの玉井健二にボイトレや楽曲制作などのノウハウをガッツリ受けており、それがこのアルバム以降にも大きく影響している。
1.17才 ☆☆☆★
多分ベボベの中で一番有名な曲。
Cから考えるとガラッとポップになっており、1曲目からかなり新鮮な驚きがある。あまりにもメジャー過ぎてあまり聴いていなかったのだけど改めて聴くと歌詞が非常に良い。
掴んだ腕残るBCG
覚えてしまったABC
歌詞にBCG(ハンコ注射)を使う事により生まれる違和感と「身体は殆ど大人だけどまだ注射跡はある」微妙な時期性の表現も素晴らしいし
ABC、覚えてしまった知識は二度と戻らない、無垢(子供)から少しずつ離れていくという対比も凄く上手いなと唸る。なかでも
傷ついて痛いかい?
気付いてほしいのかい?
が特に凄い歌詞だなあと思っていて、思春期って主に「認識されない自分だけ(だと思っている)のキズを抱えること」だと感じることが多くて、だからこそ思春期の友情は「傷の共有、相互認識」によって成り立つ側面が大きくて、それを凄くピンポイントにグサッと刺す歌詞だし「気付いてあげるよ」とか「誰か気付いてくれるよ」じゃなくて「気付いてほしいのかい?」ってちょっと角度を変えて歌うのが巧みだよな。ある意味でそういう思春期の甘さを突き放してしまう感じというか。
Base Ball Bear - 17才 - YouTube
2.ドラマチック ☆☆☆☆
アニメ「おおきくふりかぶって」の主題歌。
正月返上で制作したらしい。
「ドラマチックチック」みたいな感じで擬音的なフレーズを繰り返す事によってキャッチーにする手法を用いている。
譲れないもの見つけても 気付いたら目を逸らしてた
という歌詞がめちゃめちゃ刺さる。これだ、と思うものがあってそれを最後までやり切れたことって今まであっただろうか、と自分自身を見透かされたような気になるフレーズ。だけど
譲れないものがある
ともう一度歌うことによって、その悩みに対する解決を1曲の中で出しているのがベボベ的だなと感じるし、すごく好ましい。
あと、MVがビックリするくらいダサい。
Base Ball Bear - ドラマチック - YouTube
3.抱きしめたい ☆☆☆
かなりシンプルな王道ド直球ラブソング。
メロディが良くて、その裏のリードギターもアルバムの中だとトップクラスにすき。湯浅(gu)のリードギターは意識し始めるとすごく効果的に曲に作用してることが分かって面白い。
Base Ball Bear - 抱きしめたい - YouTube
4.ヘヴンズドアー・ガールズ ☆☆★
ヘヴンズ・ドアー(天国への扉)を通って屋上から飛び降り自殺をする女の子たちの歌。
思春期の、何かのきっかけで飛び降りてしまうような精神的危うさを
ヘヴンズドアーはいつでも君のために少し開いてる
と表現するの、怖いな。的確なんだけど「君のために」ってそれを表現出来てしまう感覚が怖い。
5.愛してる ☆☆☆★
小出と関根(Ba.Cho)のサビの掛け合いが気持ち良い。すごく「よくある」タイトルなんだけど、これは「よくある」タイトルへのアンチテーゼ的表現だと思っている。
歌詞も「愛してる」と言って喜ばれないことに動揺する男の子と、安直に「愛してる」と言われる度に愛が逃げていくような感覚になる女の子の感情のすれ違いを描いていて、後半になるにつれて
愛してる、君を 間違いは無いはず
君と 歩んでいきたいはず
愛してる…はず…たぶん
とどんどん自分の感情に自信が持てなくなっていく構成なのが面白い。言葉を簡単に使ってしまうことに対する批判的な視点を少し感じる。
Base Ball Bear - 愛してる - YouTube
6.Seventeen Romance ☆☆☆
別れた元カノと電車でばったり同じ車両になってしまって気まずいな、という曲なんだけど状況描写と心理描写が上手い。
君は英単語帳見ていた
君はこれから何個の単語覚えるんだろうか
ってスゲー歌詞書くな。これだけですごくいろんな情景が見えるというか、元カレと目を合わしたくない手持ち無沙汰な女の子が英単語帳開くの、スゲーリアルだな。
男は未練があって、もう一度声をかけたらロマンスが始まるのかもしれないのに。
と後ろ髪をひかれながら悔やむだけの歌。
何も起きないことを書くのが上手い。
珍しく一人称に「俺」を用いており、歌詞表現として私小説的な意味合いが強いのではないかと踏んでいる。
7.Futatsu No Sekai ☆☆☆☆★
ギターがめちゃめちゃかっこいい。サビへの盛り上げ方がすごくて、「キメ」でバチッと仕留める感じがする。イントロはアコギだと思うんだけど、ロック的手法でアコギをかき鳴らすのカッコいいなあ。
歌詞の最後で明かされるけど「sekai」は世界と正解のダブルミーニング。不倫の歌なので
「2つの世界(関係性)とそれぞれの関係性での正解を夢想する愚かな男」という意味。
オチが
普通の2人だったら 惹かれ合うことはないかもしれない
なので「バカヤロウ」と言いたくなる。
小出の実体験ではなく友達の友達の話らしい。
8.真夏の条件 ☆☆☆★
「ダッダダダッダダダッ」みたいな、西部劇とかでありそうな馬の足音みたいなベースのリフが特徴的。自分はこれをよく「荒野感」と例えている。ガスタンクの「ジェロニモ」とか。
韻の踏み方やサビの盛り上がり、それこそギター&ベースの荒野感とかメロディも含めて1番ライブを意識してる印象を受ける。実際盛り上がる。
真夏の条件 それはひとつだけ 君がいるということ
という結論が真っ直ぐで気持ち良い。
Base Ball Bear - 真夏の条件 - YouTube
9.青い春・虚無 ☆☆☆☆
カッティングが心地よい。
個人的な感覚ではサビが無くて、Aメロ→Bメロ→ギターソロ のギターソロがサビの役割を担ってるわりと特殊な構成の曲。
それでもしっかりとギターソロでキメるのでめちゃめちゃちゃんとロックの楽曲として成り立っている。
同期を全く使わずにギターの歪みだけでこのサウンドを成立させてるの、すごく変態的だと思う。
関根史織(Ba.Cho)がボーカルの曲。
恋に焦がれ 恋に泣く
まな板の鯉にもなる
本当の恋を求めてるの
誰かと濃い恋をする
神様来い、話がある
素敵な才能をください
の部分の言葉遊びが聴いていてかなり気持ち良い。
関根嬢がボーカルの曲だけど、ハモりの小出の低めの声がカッコいいのでオススメ。
WINK SNIPER at NIPPON BUDOKAN from 1st LIVE DVD - YouTube
11.協奏曲 ☆☆
Base Ball Bearの曲の中で1番真っ直ぐなラブソングな気がする。十七歳のアルバム全体でいえることだけどこの曲の主人公達はもう大人なんだよな。大人になってしまったけどまだ十七歳のあの頃を引きずっているんだろう。
ちなみに、この曲は小出が友人の結婚で作った曲らしい。
実質アルバムの最後の曲という感じ。
12.気付いてほしい ☆☆☆
ベボベ版「Help!」(The Beatles)という感じ。
17才の「気付いてほしいのかい?」からの流れ。
協奏曲で本編が終わって、エンディング後のショートムービーのような印象。これは後の「二十九歳」でもあるアルバム構成(そちらはより顕著)。
もう少し書くことがあったんだけど「ベボベ版Help!」という表現で全て言い切ってしまった。以下Help!の歌詞引用。
(Help!) I need somebody
(Help!) Not just anybody
(Help!) You know I need someone
(Help!)
総括 アルバム ☆☆☆☆
自分が少し前に十七歳の曲をやるよ!っていうライブに行ってるのもあるけど改めてすごく良いアルバムだと感じる。
「C」までの抽象性の高い歌詞表現からガラッと具体的かつ対象を絞った表現に変化しておりこの時期での大きな変化だと思う。
音楽性自体もポップロック的な方向に寄りつつギターロックも捨てない絶妙なバランス感覚だな。
全体の曲順や纏まりとしても、最初と最後の「十七歳」と「気付いてほしい」で挟むことによってアルバム全体の青春色、コンセプトがすっきり表現されている。これだけシングル曲、タイアップが多くてきちんとアルバムとして纏まっているのはこの時期の小出の歌詞世界観が近いからなのかな。
彼女と海と都市。と俺。 Base Ball Bear 「C」 レビュー
Base Ball Bear レビュー① 「C」
メジャー1st アルバム「C」(2006/11/29)のレビュー。
(☆の数で評価してますが、一番好きなバンド故にかなり厳しめで付けているので☆3でも大好きな曲です。)
一番最初に買ったアルバムが「(WHAT IS THE)LOVE&POP?」で、そこからしばらくして買ったアルバムなので自分にとっての1番最初ではないけど人生で一番好きなバンドの1stという意味ですごく特別なアルバム。Number GirlやSUPERCARからの影響がまだ強いと言われていた時期のものだが、実際に聴くと勿論エッセンスとしてはそれらを感じるもののあくまで「Base Ball Bearの音」がちゃんと鳴っているな、と思う。初期衝動と音楽性の高さが両立した非常に完成度の高い良いアルバム。
1.CRAZY FOR YOU の季節(Album version) ☆☆☆
「青春バンド」Base Ball Bearとしてのメジャーでのアルバム1曲目を飾る記念すべき曲。
四つ打ちのアップテンポな曲で歌詞は既に小出の詩的センスが垣間見える、初期ベボベの要素を詰め込みまくった名刺替わりになるような曲で、疾走感が気持ち良い。
武道館ではラストにこの曲を演奏した。
Base Ball Bear - CRAZY FOR YOUの季節 - YouTube
2.GIRL FRIEND ☆☆☆
「C」を構成する曲の中でもかなり重要なポジションを占める曲のひとつな気がする。
抱きしめた最悪の結末が透明の笑顔のせいで綺麗だ
というフレーズがすごく好き。君の笑顔で地獄も全て綺麗に見えてしまう(でも何ら解決はしない)のが小出の青春観なんだろうな。
3.祭りのあと ☆☆☆☆
初期ベボベの代表曲のひとつでこのアルバムのリードトラック。
所謂「四つ打ちダンスロック」的な楽曲なんだけど今聴くとわりとゆっくりに感じる。フェスとかライブだともっと早いので、四つ打ちというジャンルのインフレを少し感じたりする。
今のベボベが歌うと大人の曲に聴こえるんだけど、改めて聴くとすごく学生の情景が浮かぶ。
素敵な絆は 涙になる 初めて傷付くなら君がいい、空気……気持ち悪い
という歌詞に小出の青春に対する劣等感、嫌悪感みたいなものを感じる。夏の終わり頃の涼しい風は気持ち良いけどオレ達のこの空気は気持ち悪い。
Base Ball Bear - 祭りのあと - YouTube
4.ELECTRIC SUMMER ☆☆☆
メジャー1stシングル。日本のロックシーンにおいて四つ打ちダンスロック(早めBPM)を初めてやった曲らしい。
これまでの4曲全部そうなんだけど、Cのベボベの曲は群像劇的というか、海のある都市(まち)の色んな風景が目まぐるしくアルバムをめくるように変わっていくような歌詞の書き方だな、と感じる。放課後のあいつ、屋上にいるあの子、都市にふく風、あの子を見る俺。海。
Base Ball Bear - ELECTRIC SUMMER - YouTube
5.スイミングガール ☆☆
インディーズ粗削りベボベ感。爽やかな風が通るような曲調だけど歌詞をよく見ると所々に影を落としている。
アルバムの中だとかなり単調だけど勢いで1曲押し切ってる感じは好きです。
6.YOU'RE MY SUNSHINEのすべて ☆☆☆
YESとNOを忘れたら何か素晴らしいもの手に入れられそうさ、という根拠の無いことを歌うけど、でも確かに手に入れられそうな気がしてくる。
1番は「何か素晴らしいもの取り戻せそうさ」なんですよね。学校のテストでは〇か✕か決められて、俺含めてみんなも何となくyesかnoの2種類しかないと思っているけど、それ以外の選択肢を見つけた時に、俺が失った「何か」が戻ってくるんじゃないか、という歌詞だと思っている。
7.GIRL OF ARMS ☆☆☆★(3.5)
街と海と俺の三角関係
ってフレーズ、小出は天才じゃなかろうか。
思春期の「俺」と狭いこの街との距離感を考えてしまう。そこにどこまでも続く海。これはseeとsheのダブルミーニングなんじゃないか、とも思う。そもそもアルバムタイトルの「C」が都市のCity、彼女のShe(シー)、海のSee(シー)、死、などのイメージが元になってるらしいのであながちこの予想は外れてもいないんじゃないか。
8.DEATHとLOVE ☆☆☆☆
暗いテーマのはずなんだけど、そこに影がない。でもタイトル通りDEATH(死)を扱っているので普通に考えると「君」はもういないんですよね。でもそんなテーマを扱っているけど笑って送り出せる、これだけ晴れやかな曲調であるということが救いになってる感じがします。
9.STAND BY ME ☆☆☆★
曖昧になるそれでいいとは思えやしない!
と言い切る真っ直ぐさとか、すごく青春の眩しさを感じる歌詞。
このアルバムの中でリズム、メロディー共に一番好きな曲かも知れない。すごく完成度が高い。
Base Ball Bear - STAND BY ME - YouTube
10.ラストダンス ☆☆
Cというアルバム全体で死を扱うからこそ「俺は今、生きている」という感覚がすごく強く強調されている。
永遠のしばしの別れ、単純に捉えると「死」なんだけど、なんかもっとスケールが小さいような気がするというか、転校してしまう、とかでも学生の小さな社会の中だと最早永遠に会えない死別そのものなのではないか。
11.SHE IS BACK ☆☆☆
君はサマーガールだけど、このアルバムが出たのは11/29でもう冬だね。というのがすごくBase Ball Bearにとって重要なんじゃないかと思う。青春から遠い位置にいながらにして青春を歌うBase Ball Bearを考えた時、夏との距離感で言うと11/29って本当に良いタイミングで。
この曲は、そういう「青春との距離感」みたいなBase Ball Bearのバンドとしての立ち位置を感じさせる。
総括 アルバム全体 ☆☆☆
「C」は未だに一番好きと挙げる人も多い不屈の傑作なんだけど、個人的にはわりと最近まであまり聴き込めていなくて、改めて聴き返すとそれまで思っていた以上にBase Ball Bearの青春性みたいなものが強くて驚いた。
高2の時にハマった癖にぶっちゃけBase Ball Bearが「青春バンド」として扱われることにすごく拒否感があるというか、青春と距離を取りながら青春に限りなく肉薄したソングライティングとか、青春以外の苦さ、音楽性みたいなのにハマったタイプなのでずっと青春バンドBase Ball Bearとしての扱いに違和感があったんだけど、「そりゃ青春バンドって言われるよね」みたいなアルバムでした。それでいて青春の勢いだけではない確実なスキルも備えていてヘビーなアルバムでもあるからすごいと思う。
特撮 「夏盤」 レビュー
特撮の5枚目のアルバム「夏盤」(2004/06/30)のレビュー。
その名の通り夏をテーマにしたアルバムだがリリースは6/30と微妙に夏感が薄い。しかし夏に聴くことを考えるとこの位のタイミングがベストか? 特撮(オーケン)らしいのは、アングラな奴らのための夏をテーマにしていることだろうか。
1.アングラ・ピープル・サマー・ホリデイ☆☆☆★(3.5)
このアルバムの言いたいこと全部終わったな感のある曲。メロディない系のがなり曲の中ではかなり好き。「おー」の元気のなさとか、サビの締りのなさとか地味な緩さが結構好き。アンチテーゼとしてかなりレベル高いなと思う。
2.ロードムービー☆☆
達郎!
3.エレファント☆☆
この曲サンプリング元があると思うんだけど確かにこの音、象っぽいよね。
NARASAKIのパートが好き。
4.花火☆
重苦しい。そういう曲なんだからそうなんだけど、やっぱツェッペリンとかキンクリ、フロイドの影響あるんだろうけど重苦しい曲はほんとに聴きづらい。
5.湘南チェーンソー☆
アングラ湘南。ジェイソンに憧れたのかな。
夜歩くプラネタリウム人間みたいな。星と魚の中を。みたいな。
オーケンの歌詞、この時期はなんか群像劇的なのを描きたいのかな、という内容が多いですね。
7.シーサイド美術館☆☆★(2.5)
嫌いじゃないです。このアルバムの「アングラさ」では一番好きかも。お酒とかちびちび飲みながらBGMとして聴きたいような感じ。
総括☆☆
あまり聴かない。アングラな夏をテーマにしてるし当たり前だけどジトッと空気が詰まる感じ。夏のジトッとした嫌な感じ。
僕が日本の音楽にアングラさを殆ど求めていないのがこのアルバムの評価が低くなる理由な気がする。アングラさと理解出来る言語が同じ線上にあると脳が気持ち悪くなってしまうんだよな。コンセプトとしての一貫性は強く、音楽性も肩の力が前に比べ抜けていて良いと思う。
特撮 「オムライザー」 レビュー
特撮4枚目のアルバムにして徳間をやめて初のアルバムである「オムライザー」(2003/12/17)のレビュー。
聴き込んでるかと言われると好みの問題でほぼ聴けていないので前3作より比較的短くなると思う。
1.オム・ライズ☆☆☆
ライブで盛り上がりそうな良い曲で、個人的には「恋をしたんだ(キュッキュッキュ)」の部分が好き。
この曲でも顕著だが、オムライザー以降のオーケンはわりとがなるような歌い方にシフトチェンジしており、これがあまり好みではないのが4〜6thアルバムの評価が低い理由の一つになっている。
2.水天宮と多摩センター☆☆☆
歌詞を見ても何言ってんのか絶妙によくわかんないのだけど割と好き。地味に間奏のピアノ&ベースがカッコ良い曲だと思う。
3.流星☆☆
サビが割と良い。本当に書くことが思い浮かばない。
4.Sweets ☆☆☆
オーケンっぽくないようなこれ以上無いくらいオーケンっぽいような。不思議な聴き味。
特撮と言うよりオーケンソロのテイストに近い感覚だな、と思って調べるとプログレカフェのアルバムでも歌っている。プログレカフェは2009年なので多分特撮で書いた曲をセルフカバーしているのかな。オーケンの気に入る曲、結構わかりやすい。
5.子供じゃないんだ赤ちゃんなんだ☆☆
めちゃめちゃ馬鹿。逆ギレソング。
この位で生きた方が楽だろうな。
6.プログレ・エディ☆☆☆☆
エディのピアノとオーケンの歌い方が妙にマッチしてて良い。NARASAKIのコーラスも妙に合ってて、この時期の特撮のユルさの波長が絶妙に噛み合った曲だなと思う。あとオーケンの声に大槻モヨコ感がある。
7.ルーズ・ザ・ウェイ☆☆☆☆☆
「寒いふりをしてる 本当はヌクヌクの体」、自分もそんなふうに振舞ったことがあるような気がする。「いい方へ転がれ」って歌詞が好きで、なんて救いのある言葉だろうと思う。
天秤等の言葉でも分かるように、かなり他人(天の采配)任せというか、自分から何か行動をする、というような歌ではないのだけど、それでもオーケンなりの明日への希望の歌だよな。
8.友よ☆☆★
特撮、意外と「ふふー!」みたいな掛け声多くて可愛いバンドだね。
NARASAKIのボイスの可愛さもなんなんだろうな……
9.オム・ライズ(Tokyo girl mix)☆
違いがそんなにないしなぜTokyo girl?
総括☆☆☆
ルーズザウェイは勿論として、プログレエディとかオムライズとか意外と粒揃いだけど、アルバム単位として見るとうーん、という感じか。ルーズザウェイで終わったら評価変わりそうだからルーズザウェイほんと怖い曲だ。
特撮 「agitator」 レビュー
大槻ケンヂ率いる特撮の徳間からリリースした初期3作のラスト、3rdアルバム「agitator」(2001/09/27)のレビュー。これもまた前作「ヌイグルマー」から1年が経っていない状態でのリリースで、この時期のオーケンの調子の良さが伺える。実際アルバムとしても非常に密度が高く脂がのっている。
1.ヨギナクサレ☆☆☆☆
「ヨギナクサレせざるを得ない!」って言葉はアルバム1曲目にしてめちゃめちゃ心掴まれるなあ。「それでも、生きていかざるを得ない」のこの時のオーケンの言い方なんだろうな。
ふざけるんじゃねよ動物じゃねえんだ、のオーケンに妙に強烈な真剣みを感じる。
語りの部分で、アジテーションする側のオーケンがオーディエンスにアジテーションされているの、めちゃめちゃ皮肉効いてるな〜〜と思う。相互にアジテーションされて主張はでかくなって行くのかもしれない。
「何を」ヨギナクサレせざるを得ないのか。
2.超越人間オーケボーマン☆☆☆☆☆
このアルバムで一番好きな曲。
この曲も含め、前の曲もそうだが「獣」がagitatorを通してのテーマなのかもしれない。ヨギナクサレは獣性の否定だが、この曲は獣にならざるを得ないということを歌う。
意味はよくわからないんだけどブラフマンとアートマンは実際にインドの宇宙原理?の中にあるんだよね。そんな絶対的なものの中間に自分(オーケボーマン)を置くなよ。
恋と愛の距離を深度で表して「愛を知るまで恋に落ち続ける」と形容するのが面白いなと感じた。どうすればオーケボーマン(オーケン)になれるの!、ファンが1度は思う事だろう。
宇宙の根本原理みたいなものを描きたかったのかな。
3.人狼天使☆☆☆
念仏のようなオーケンお得意のパートから始まる。この曲でも狼(獣)のモチーフ。
「メスカリン」は幻覚剤の一種らしい。欺くのは自身か。
牙だけはギラギラと太陽に背く、メスカリンによって自身を欺いて信仰(ロザリオ)も夢も溶けてしまってもその牙だけは残る、というような意味か。NARASAKIパートが良い。
4.悪魔巣取金愚☆☆☆
カバー。よくよく聞いたら歌詞怖いよな。
悪魔巣取金愚なのか悪魔ストッキングなのか、と思ったらどっちもだった。
非常に風刺的なものを強く感じる。
何故か黒澤監督のオムニバス映画「夢」のひとつを思い出す。
5.人間以外の俺になれ☆☆☆☆☆
イントロ〜のおだやかな空気から一変しての逆ギレ。逆ギレソングとしてネタ含め完璧な歌だなと思う。愛して恋してエンヤトットエンヤトット。
輪廻転生の解釈を少し捻じ曲げたような歌詞だと思うが、ハワイで幸福な人々をみた男が急に狂うのが気になるんだよな。
構成が若干「人間蒸発」に近い。多分俺こういうのが好きなんだろうな。
ここでも獣のモチーフが。後の曲で出るうさぎのモチーフも出てくる。B級アイドルはゴスロリちゃんに通ずるか。
6.Night Light ☆☆☆
エディのインストだーーー!!!!前半と後半をつなぐ良い橋になってるなぁ
7.ゴスロリちゃん綱渡りから落下す☆☆☆☆☆
最高。眼帯だから遠近感覚が弱くなり綱から落ちた説がある。アルバムの折り返し地点であり、明確に「チャンネルが変わったな」とインスト含め感じさせるパワーがある。
うさぎのモチーフ。やはりこのアルバムはうさぎと狼が肝なのかな。
「あっ」だけで綱から落ちるの表現するの凄い。
彼女は両親に愛されていなかったから父親が母親を殺すようにしむけたのだろう。
「光遮れよ眼帯白く埋めつくすように転がり続けろ包帯連れて行け夢へ」という歌詞が好き。ゴスロリちゃんは美しくないのも好き。
文豪ボースカ的な終幕での世界観の広がり。
人殺しと被害者の戦争という全く関係の無いスケールの大きな話を持ってきてそれを「そんなことよか」と一蹴してゴスロリちゃんにとっての最も大切なことを非常に強くメッセージとして与えている。
8.日本の米2001(作曲20周年記念)☆☆☆
ライブアレンジ的なわかりやすさ。茶番劇がないからノリやすいけどあの茶番劇好きなので元の方が好きだな。「君は愛を知っているか?」と馬鹿ソングで聴けるのが大槻ケンヂのバランス感覚なのだなと感嘆する。
ちなみに俺は1度食べ過ぎて気持ち悪くなってから納豆が食べられなくなってしまった。
エディのピアノがかなり良い。ヤンガリーって映画の主題歌らしい。B級感が特撮に合うなぁ。人間以外の俺になれ、と何となく親和性を感じるオチ。
どこからスカイヤンガリーなのかが分からない。1.2.という割に一貫性がある。
ここで「人間以外の俺になれ」と同じセリフ。
10.うさぎ☆☆☆☆★(4.5)
名曲。恐らく赤い目の人だけを殺す殺人鬼の女の子の歌なんだけど、よく歌詞を読むとちょっと哀しい歌だな。
寂しくないと死んでしまう、ということでもしかしたら「赤い目」という共通項を持つ人(仲間になりうる)を探して殺しているのかもしれない。
それはそれとしてメロディとオーケンの歌が凄く良いんだよな。めちゃめちゃ好きな歌。
11.揉み毬☆☆☆★(3.5)
いい曲だしかなり好きなんだけど、agitatorか〜??とちょっと思ってしまう。13人の刺客枠。勿体ない。でも名バラードだと思う。
なんで揉み鞠というめちゃめちゃマイナーな所に目をつけようとしたのだろう。マッサージチェア全体ではなくあくまで揉み鞠のパーツのみなのが気になる。
12.殺神(album mix)☆☆☆
ザ・特撮の曲〜って感じ。多分特撮の全曲を読み込ませてAIに作らせたら殺神が出来る。
だからこそ好きな曲だし、だからこそ特筆すべきものが個人的にあまりない曲。
信仰について歌っているようだし、神殺しの歌なのかな?と思うけどちょっと読み解けない。
総括☆☆☆☆☆
非常に完成度が高い。個人的な特撮での評価の基準がこのアルバムになってしまうのでほかのアルバムに対する評価が厳しくなったりする。
比較的歌謡的だったヌイグルマーよりかなりパンク寄りになっていて、この後の夏盤やオムライザーに繋がる要素が見受けられる。
やはりここまでレビューしてきた初期三作は完成度が高いな。
コンセプトアルバムかどうかは別として、「獣」のモチーフが非常に多くこれは意識しているだろうと思う。
「人間以外の俺になれ」がわかりやすいが、かなり輪廻転生とか、人からの脱皮を求めるような歌詞が多い。
このアルバムは、全体を通して踏みにじられてもその眼の輝きを、尖った牙を捨てるな、みたいなオーケンからのアジテーションなのかもしれない。
特撮 「ヌイグルマー」 レビュー
基本的に特撮はリリース順にレビューしたいな、という事で2ndアルバムの「ヌイグルマー」(2000/10/25)を。前作「爆誕」から約半年でリリースという異様なスピード。
1.ヌイグルマー序章☆☆☆☆
好き。アルバムのコンセプト説明。筋少の「断罪!〜」の匂い。
オーケンはバンド以外の人の声を入れることに抵抗が全くなくてすごいなと思う。表現のためになんでも出来る人なんだろう。曲と言って良いかは分からないけど、シャッフルでこれが出てくるとこれ単体で嬉しくなる。
2.戦え!ヌイグルマー☆☆☆☆★(4.5)
身代わりマリーとほぼ同じテーマを歌ってる。この時期のオーケンは身代わりになる何かを求めていたのか、世間に何かそう言った存在を感じていたのだろうか。
n.u.i.g.u.r.u.マー!がちょっとだけ面白い。
中川翔子の「ヌイグルマーZ」がこれを元にしたストーリーなのだろうが、あまりにも興味がわかないので観ていない。
「私の瞳は洋服のボタン」って凄く良い歌詞だと思う。少女を見る時も泣いている時もその目は洋服のボタン。その他にもぬいぐるみ故に起きる状況描写とヌイグルマーである少年の境遇の哀しさをリンクさせるのが上手くて唸る。
3.ジェロニモ☆☆☆
ガスタンクのカバー。疾走感。元はもっと荒野感のある音だった。違いが面白い。
オーケンはかなり好きらしくソロでもカバーしている。
ジェロニモはFGOでもおなじみネイティブアメリカンの戦士なのでそのキャラを見る度にこの曲を思い出す。
4.爆弾ピエロ☆☆☆☆
提供曲だとさっき知った。
「連想とは未熟な一体感」確かにそうかも、と思わされる。説得力がある。
爆弾ピエロが踊り出してからの展開が良い。ヌイグルマーとの繋がりを感じる。
好きなんだけど何を書いていいのか難しい。
こういうメロディの弱いパンクにメロディアスなピアノが入っていることが特撮の圧倒的な強みなんだろうなと思う。
5.バーバレラ☆☆☆☆☆
凄く好きな曲。人を殺した寂しい目の少年の方にドラマを感じるがそれを追う仕事嫌いの警官にスポットライトを当てている。日々の生活の中での「テレビ見たいのにな」と言うだけの事をこれだけ壮大に歌っているのが本当にオーケンのうまさだなと思う。人殺しの少年の描写とそれに全く関心を割かない警官の描写が交互に続くすごい曲。
深夜のテレビでやってる映画って良いよな。
「虹だ」ではなく「2時だ」なのか。映画に間に合わなかった警官は映画の内容を思いながら事故を処理するのだろう。
ライブで一番聞きたい曲のひとつ。
6.企画物AVの女☆☆☆☆★(4.5)
音楽性にあまり特撮らしさを感じない。それどこかファンク調を感じるが良曲。悲劇が喜劇、のオーケンお得意手法の真骨頂だなと思う。
彼女がその心の中で「あの人は見つけてくれたかもしれない」と小さな希望を持って死ねたなら幸せなのかもしれない。でもまず間違いなく販売されないと思う。元ネタは八甲田山か?2018年の音源でもVHSからの変化を歌っててちょっとだけ笑った。今ならVRとかネット配信だろうか。コーラスの「ふー企画物!」が良い。最後の「はっ」が可愛いですね。
おなおなおなおな同じように、オナニーとかけているのかな。
7.ケテルビー☆☆☆☆☆
ライブで一番聞きたい曲。
小さい事から超壮大になるオーケンのお家芸。猫かと思ってよく見りゃパン(しかも一斤!)
固有名詞を使うことによって妙なリアリティを感じさせる手法を使っている。
外国人の声が上手くハマっているし、オーケンがよく使う素人女性コーラスもこの曲と相性が良くて、かなりこの当時での特撮の集大成的な曲な気がする。まだ一斤もあることがカタルシスになるってすごい曲だ。誰にも書けない。
最後のラララーをオーケンも歌うのでライブ版も非常に感動的になる。
猫とパンは分かるがタニシのモチーフはオーケンのどこから来たんだろうか……。
ラストに長めの語りがあるが、特撮でのオーケンの語りの中では一番好きで、孤独や憎しみを「暖かな午後の日差し」であるかもしれないと声を張り上げるオーケンは暗く生きる人へのまさしく希望なのだなと思う。
8,愛の木星☆☆☆☆
ケテルビーで希望を説いてからの「本当は恋愛したいんだろ」がグサッと突き刺さる時がある。
「みんなでハッピーな事をしたいよ」からゴリラライスなの、なんなんだ。そこに何があるんだ。ずっと俺じゃないっす!だと思ってた。台詞の部分のオーケン、レティクルの頃の暗さを感じる。
9.トンネルラブ☆☆☆☆☆
3年でブラジルまで掘るの、どう考えても人間離れしているがオムライザーのジャケ写みたいな機械を作ったのかもしれない(でも手作業で掘っていた方が良いな)。
Bメロの盛り上げ方が、全世界探してもこの曲しか無いんじゃないかと思わされる凄さで、Bメロが実質サビ。本サビも熱く煮え滾るような展開で凄まじい完成度になっている。オーケンの書く歌詞、歌い方、メロディ全てからこの2人は必ず報われるのだろうなと思わせるパワーを感じる。
ずっと穴を掘りながら、心の中で鳴らしていたであろうサンバを本当にその耳で聴いた時の彼の喜びはどれ程のものであっただろうか、と毎回少し感動してしまう。
アウトロが長いことが色々な想像力をかき立てる。彼女に出会ったシーンかもしれないし、1人放心してサンバの中を立ち尽くしている男かもしれない。でもきっとハッピーエンドだろう。
とにかく完璧な曲だと思う。
10.アザナエル☆☆☆☆
NARASAKI〜!!!
糾えるの意味を調べた。成程。ピアノの音がすごく綺麗で、NARASAKIの声とよく合うなあ。よく歌詞を読むと、「君」は亡くなってしまったのか。「君」が死んでも楽しいことも温かみを感じることもある。だから手紙を書くよ。って事だろうか。
鬼火は何を表しているのだろう。人生を諦めて何も辛くないような顔をしている人への批難めいたものを感じる。すごく好き。なんと言って良いか分からないけど。
それを「ありふれたもの」と形容するの、オーケンの残酷さを感じるなあ。今ようやく歌詞の意味が少し理解出来て、そういった暗い人達の光を空へ灯せよ、という歌なのだな。
オーケンが探したいトーマスマンテルは犬人間かどうかを決める審査員の一人でもある。
トーマスマンテル大尉は気球をUFOと追いかけて結果上へ上へと昇り墜落死したらしい。
ゼルダ・フィッツジェラルドは火事で焼死していて、鬼火からの連想なのかもしれないな。
鬼火よ、風船おじさんも探しておくれよ。
元のマタンゴより好き。
ララミーと同じように穢れ思想だとか村に住むゆえの世間の狭さみたいな暗さを感じる。
やっぱりマタンゴはエディがいないと表現出来ない曲だな。思えば特撮はどこか「sister strawberry」の時の筋少の路線を強化したような感じがする。
総括☆☆☆☆☆
「身代わりマリー」の音楽的な路線をより強化したようなアルバム。各曲の出来が高過ぎる。特に後半は何かオーケンの鬼気迫るものを感じる。
意外と「身代わり」テーマはヌイグルマーだけでアルバムコンセプトとしての身代わりは「爆誕」でやり切ったんだろうな。
聴いてる人に訴えかけるような曲が多いような気がして、聴きやすいアルバムなんだけど聴いた後になんだかちょっと嫌なものが残る、そんなアルバムだと思う。
総合的な曲の完成度で考えるなら特撮のある種のピークと言えるかもしれない。しかしそれをパナギアの恩恵で超える(主観)のでオーケンはまさしく鬼才なのだなと思う。
特撮 「爆誕」 レビュー
別に記念すべきでもなんでもないけど1つ目。
特撮のライブが決定ということで大槻ケンヂが筋肉少女帯脱退・凍結後に始めたバンド「特撮」の1stアルバム「爆誕」(2000/2/23)のレビュー。
1.アベルカイン☆☆☆☆
何を選んでも結局獣のように生きるだけだぜ!総括!なんも考えてなさそうで深いような気もする。
サウンド面で、1発で「パンクだ」と分かる構成で「筋肉少女帯とは違うバンド」だとオーケンが叫んでいるようにも見える。特撮全般に言えることだが重いサウンド、バッキングにエディのピアノが入るのってすごく特異で素敵だ。
2.身代わりマリー☆☆☆☆☆
マリーが読んだものに自分を重ねる描写が丁寧で作家オーケンを感じる。
「マリーが僕達の代わりになってくれたから僕達は感謝の気持ちを込めてマリーの歌を歌おう!ありがとう!身代わりマリー!」という展開から「じゃあ次はだれ?」となるの、ゾクッとさせられる。
個人的にAメロ、Bメロのギターサウンド、ピアノ共にトップクラスに好きな曲。
ヌイグルマーを聴く前から何となくマリーにゴスロリの服を着た人形のイメージを持っている。
3.キャラメル☆☆☆
提供曲だとさっき知りました。
都会の棒棒鶏ってなんだろう。美味しそう。歌詞がほぼキャラメル関係ないの気になるんだよな。歌詞に意味はほぼ見出していないし韻を踏んでるか?というとダジャレ程度なので気になるけど耳につく。
「出来上がったアイスクリーム二人で食べてみる」という歌詞が好き。
4.文豪ボースカ☆☆☆☆☆
このアルバムで一番好きな曲。
辛い辛い辛いなぁ……からの「本当かい?」の言い方が好き。あんなに暗い感情を表現する声ってあるのか、と思う。
新約聖書の続編書いた、って歌詞をかけるオーケンが1番すごいな。人の禁忌に触れるのがうますぎる。人の禁忌だし、それって人間の何か在り方を変えてしまうものだと思うんだよな。最後の寸劇がライブだと無いのだけどそれも好き。『今から銃持って銀座へ』「来たぜ」が好き。オーケン寸劇のライブ感の演出のうまさを感じる。
果たして少年探偵団は、人間は何に合格したのだろう。
江戸川乱歩は初恋が同性だった、みたいな話もあるのでそこから同性愛者の王国の話になっているのかもしれない。
身代わりのテーマがここでも。
5.ピアノ・デス・ピアノ☆☆☆☆
ギターはあまり詳しくないけどバッキングギターのコード進行の感じ、確かにおいちゃんらしさがある。でも筋肉少女帯でやったら全く違う曲になるだろうな。
曲の進行がめちゃめちゃ突飛なのだけどそれが凄く特撮らしい。
6.美少年で探偵でS ☆☆☆☆☆
イントロのオーケンの息遣いまで聴こえるような「どぅーんどぅん」が最高。
この曲みたいな、オーケンのちょっと高めの若い感じの声凄く好き。
間奏の長さが電気ビリビリの長さを感じさせる。
「怪しい女」が電気でおかしくなったのかどうかは別として、本当に宇宙の心理を知っていた、というオチが好き。美少年は本当に名探偵だったのだ。
ここでもマリーの記述が。怪しい女とマリーは同じなのか?「愛して」と言うのが少し哀しい。次の日刺され死んだ。の「んだ」で無音になるのが良い。静かさの演出が上手い。
7.13階の女☆☆☆☆
カバー。いいバラードだなと思う。
オーケンの声質と合ってるなあ。飛び降りずに済んだ理由である皆の説得を「口車」と言うのが良い。精神病院に入れられたことも彼女が説得を受け入れ死ねなかったことも、不幸なのかもしれない、と考えてしまう。
「とにかくいまはとにかく」は彼女への説得の言葉なのだと思うけど、その後また飛び降りるしかない、と歌うのはもしかしたら結局彼女は落ちたのかもしれない、と思ってしまう。それでも良いと思う。
8.マリリン・マラソン☆☆☆★(3.5)
マリリン・マンソンのパクリタイトル。
「優勝者以外は人生これからずっとビリだ。」
が良いなぁ。1部除いてみんなビリ。
このマラソンは人生を表現しているのかな、と思うけどなぜ45億人なのだろう。
多分ライブだと「戦え!何を?人生を!」の次にオーケンがしんどい
9.ピアノ・デス・ピアノ愛のテーマ☆☆☆
インスト。インストの中でもわりと好きな方。でも地味。これの次がテレパシーなのが上手いな。
10.テレパシー☆☆☆☆
「つー」は電波的なものだろうか。
片方が息絶えて尚途れないテレパシー、愛なのだろうけど悲劇だし辛いだろうな。
2人とも死んで灰になって、テレパシーを受け取る人がいなくても途切れないのだろう。
オーケンにとって「想い」とは流れるものなのかな。
「彼女の恋で」という描写しかないから女同士だと何となくイメージしていたが多分男女カップルの歌だよな。何故か姉妹の歌だとイメージしてしまう。今後もそれをイメージするだろう。
11.SM作家☆☆☆☆☆
身代わりマリーの続き。扱いとしてはエピソード0か。「お客はマフィアでマゾ」からのギターがカッコイイ。
少女を彼氏が本当に愛していたのが素敵だなと思う。オーケンは意外と男女の愛に嘘を持ち込まないな。聖域なのかもしれない。
歌詞をちゃんと初めて読んだが、そういう事か。
彼氏は少女の犬であり神になったのかな。
「キラキラと輝くもの」はやっぱり人間の生命の輝きなんだろうな、という再発見。
DOGとGODのもじりはジョニー・ロットンからの引用か。
12.特撮のテーマ☆☆☆★(3.5)
これだけ音が肉体的なバンドが「俺たちゃ手作り特撮さ」と歌うのが良いなぁ。名前ありきのネタに見えて意外とバンドの本質を捉えた曲だと思う。キレよく終わるのが好感持てる。
間奏の中にバルタン星人の声がいるのが毎回気になる。
ピアノ線もSFXのひとつですよオーケンさん。
総括☆☆☆☆☆
まさに爆誕。一番好きなアルバムか?と言われると違うけど、一番好きな特撮。
「特撮のテーマ」でも書いたけど、このアルバムは非常に肉体的で音楽的にも凄く「特撮のメンバーの指から出た音」という感じが強い。バキッと尖っている。この頃はうっちーがメンバーとして参加していた。やっぱり文豪ボースカすごい曲だなあと思う。ジャケ写が一番好きなアルバムでもある。
あと、調べていて初めて知ったが自分と同じ年にリリースされたアルバムだ。凄いな。
コンセプトアルバムとして最も完成度が高く、自作のヌイグルマーに地続きでありながら初期衝動的な音で凄く格好良い間違いなく名盤と言えると思う。総括!