曖昧

芸術系の二流建築学生。主に好きなバンド、歌手の楽曲を自分用にアウトプットする場として。建築や本等の備忘録も。

特撮「ウインカー」レビュー

特撮の8thアルバム「ウインカー(2016/02/03)」のレビュー

 

パナギアの恩恵と並んで一番好きなアルバムのひとつ。最新の2枚のアルバムが一番好き、と言えるのは本当に幸せなことだなと思う。


1.荒井田メルの上昇☆☆☆☆

コンセプトアルバムとしての背骨の1曲目としての完成度が非常に高いし「ドライブ中にかけるアルバム」として考えられているのにいきなり事故るのがオーケンらしい皮肉を感じる。

「サイレンが聴こえるまで泣かないで」ってなんか凄く優しくて良いな。

オーケントレインとの共通項が多いが、皮肉としてではなくマジでオーケンがこれを思っていたらかなりヤバい。

この曲と人間蒸発があることによってアルバムの強度が何倍にもなっている凄い曲。


2.音の中へ☆☆

うーーーわ!とサーウンド!がクセになる

NARASAKI感が強いなーってイメージ。

 


3.愛のプリズン(特撮ver.)☆☆

別に嫌いな訳では無いしタイアップ曲としてよくできてるとは思うんだけど、オーケンがこの曲に異常に自信を持っているのは何故なのか。あんたもっといい詞いっぱい書いてるよ。

この曲の歌詞にオーケンが異様に集大成的自信を持っているのが、近年のオーケンの自身のイメージへの誤解とそこから生まれる歌詞の齟齬の根幹を表しているような気がする。

 


4.アリス☆☆☆

地味にサビがかなり好き。歌詞もあんま理解してないんだけどサビのとこめちゃめちゃ良いなと思う。あと「ハー」が好き。

 


5.シネマタイズ☆☆☆★(3.5)

オーケンは会話を歌詞にするのが上手いなあと思う。「あのカメラ、僕の心盗み撮る」の部分、確かに映画泥棒はいつも観客にカメラを向けているなと思った。全体的に完成度が高い曲だなと思う。

 


6.富津へ☆☆☆☆

夜の海辺を運転しながら聴きたいです。

 


7.中古車ディーラー☆☆☆★(3.5)

かなりバカっぽい歌詞だけど好き。メロディもかなり良い。

女がディーラーの心をわかったようなことを言ってて全く分かってていないのが良い。

 


8.ハンマーはトントン☆☆☆☆

エディのピアノが良い。森行く手阻む〜からの流れがめちゃめちゃ良い。ノリが好き。

 


9.人間蒸発☆☆☆☆☆

アルバムで一番好きな曲。リズムメロディ歌詞全部最高。噂話をするフードコートの男達と、それを非難するオーケンの構図が良い。

ある意味狂っているというか、純粋なままの男を書くのが上手いなあオーケンは。

消えた荒井田メルがザ・フューチャーとして登場する所からの展開がこのアルバムのハイライトだなと思う。

「出し抜けは辞めようぜ」という完全なオーケンの誤植に発売まで誰も気づかなかったのがヤバ過ぎる。多分死ぬまで気になるしライブでもドキドキしてしまうと思う。

 


10.7人の妖☆

嫌いではないけど飛ばす確率が高い。

何故人間蒸発の次に持ってくるのかちょっと気になる。ウインカーはセトリにこだわってないらしいのでまあ良いが。

セパタクローにはちょっと多い、が好き。

 


11.旅の理由☆☆☆☆

アルバムのテイストを大きく決める曲。

「オレ」は同じ顔の自分に上手く騙されてしまったのだろうか。そう考えると「ここはオレが上手くやっていく」という言葉に別の意味が見えて面白いな。エディのライト・レフトがおもろい。

 


12.ハザード☆☆☆

次アルバムが出るのかは分からないけどエディ主体のインストはやっぱり欲しいなぁ。

正確にいうとインストではないんだけど、語りでなんて言ってるか分からんのだよな。

しっとり終わる曲で、アルバム全体のイメージを上手く纏めた曲だと思う。

 


総括☆☆☆☆

めちゃめちゃ好きなアルバムなので、意外と曲によってはそんなに好きじゃないものもあって我ながらびっくりしたけど全体的にやっぱ完成度が高いし成熟したバンドとしての魅力がある。

めっちゃ嫌なファンみたいなこと言うと、タイアップ多いのが微妙な曲もある主な理由だと思う。

ドライブ中に聴くイメージなのに車に乗ったら大抵ろくなことが無い内容なのが面白い。

荒井田メルはどうなったのだろうか。

川の流れに引き込まれたのかそれとも。